NEWS & NOTES


”地球の化石”

2023年05月28日

中世の時代、西洋絵画は教会や宮殿のものだった。教会の絵画はキリスト教の世界を描き、文字の読めない信者にも聖書の教えへ伝えた。宮殿の壁には王侯貴族の肖像画が飾られた。だがフランス革命以降、絵画の主題はこうした特権階級から一般の人々へと変わり、19世紀の画家たちはリアリズムという様式で市井の暮らしや物、風景をあるがままの形に描いた。その後20世紀の始まりを前後して、画家たちは見えるものをリアルに描かず、感じたままに表現するようになる。写真の発明がこの流れを加速させ、印象派、フォービズム、未来派、キュビズムなど、新たな様式が登場した。やがて第一次世界大戦後、ダダイズムの芸術家たちは従来の価値観を拒絶して挑戦的な作品を制作した。この影響を受け、もはや目に見えるものを対象とせず、非現実的で非可視...

WHOが緊急事態宣言を出してちょうど2年が経ちました。以来、この一年まったく旅に出ていません。遠く旅に出ていつも思うのは、それが最良の自己発見の道ではないかということです。旅は人を日常から切り離し孤独にさせます。でも人はひとりになってこそ完全に自分自身になり、真に自分と向き合うことが出来るのではないか。そう考えると旅そのものが生きることであり、旅を通して産まれ直すことが作家としての醍醐味であるように思うのです。遠い旅は危険や犠牲をともないます。でもリスクを背負う人にしか得られない何かをきっともたらしてくれます。

Covid-19とアート

2022年01月08日

コロナ禍は我々に苦難だけでなく、新たな気づきを与えた。ロックダウンの間、空気や水が澄み渡り、野生動物の環境は大いに改善した。この画期的な激変は自然と人間の関係を再認識する機会をもたらした。
感染対策をめぐってグローバリズムとナショナリズムの対峙が深まっている。自由主義と全体主義、どちらがコロナ禍に有効なのか論争も起こっている。この全世界的な緊張関係は我々に政治システムを再認識する機会をもたらした。
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戦後間もなく、伝統的な書道と距離を置いて新しい道を模索しようとする書家が日本に現れました。1950年代、彼らの活動は欧米のアーティストたちの関心を集めることになります。時は抽象表現主義の時代。アクションと深く関係していることなど、彼らと抽象表現主義の画家たちの間には共通点が多く見られました。両者の接点は国際的な芸術交流の典型として発展し、書は戦後の前衛運動として世界の注目を集めていきます。彼らは前衛書家と呼ばれ、書の展覧会が世界各地で行われました。やがて1960年代にハプニングと呼ばれる芸術運動が起こる中、書家はパフォーミングアーティストとしても活動の枠を拡げていきました。20世紀後半、第一世代とも呼べるこうした書家たちの多くは、筆と墨による一回性、偶然性が生み出す造形の妙を制作の拠り...

ウィスキー輸入販売のフランス最大手、パリの Maison du Whisky が、創立65周年を記念して日本のウィスキー4ボトルをリリースしました。ラベルには作品「林」「水」「粋」「花」の4点が使われました。

新型コロナウイルス禍の中、かつてない自粛によってこれまでの暮らしや社会、そして自然環境は一変しました。我々は今、未だかつて見たことのない景色の中にいます。コロナ禍は私たちにとって苦難であるだけでなく、自然に対する立ち位置を見直す機会でもあります。「私たちにとって自然とは何だったのか...私たちは自然に何をなして来たか。」こんな時でもアートに国境はありません。異なる価値が出会うところに新しいものが生まれます。このプロジェクトがコロナ後の世界を再考する手がかりになれば、そしてノルウエーと日本との文化の架け橋になればと願っています。